カテゴリー

open all | close all

Gallery

DSC05789 DSC00744 DSC08253 DSC08407 yonaguni (16) DSC01248

アメリカ彦蔵

アメリカ彦蔵(濱田彦藏)という人物をご存じでしょうか?

幕末に、難破漂流後、アメリカへ渡り、やがて帰国して活躍した
人です。

「羆嵐」以降、吉村昭の本が面白く、「漂流」「アメリカ彦蔵」と
読み継いできたのですが、どれもすごく面白い。

特にこの「アメリカ彦蔵」

アメリカ彦蔵

主人公の濱田彦藏は、なんと加古郡播磨町の生まれなんです。
明石のすぐ隣の町・・・こんな近くにこんな人がいたとは!
と驚きました。

幕末に漂流後、アメリカへ渡り、帰国後活躍した人物と言えば
ジョン万次郎が思い浮かびますが、他にもたくさんの人が漂流、帰国
していたことが、この本に描かれています。

中でも、この彦蔵は、破船後、アメリカと中国、日本を何度も行き来し
その間、日本では幕末・維新の動乱期、アメリカでは南北戦争など
体験。
アメリカでは、三代に渡る大統領に会い握手し、汽車にもしばしば乗り、
無線電信を知り、スパイ容疑をかけられたりもします。

日本では、攘夷論者により、命の危険にさらされたり、各国の通訳として
活躍したり、外国との商取引に従事したり、まさに自然・歴史の流れに
翻弄された人生を歩みます。

その様子が、淡々とした文章で描かれており、本当に面白い1冊でした。

 

——— 以下、少しネタバレあります ———-

彦蔵(幼名彦太郎)は13歳の時に船乗り(炊見習い)として、回船に乗って
航海中に嵐にあって難破漂流。

他の乗組員とともに、アメリカの商船に救助され、サンフランシスコに
渡り、滞在します。
その後、日本に帰るために、中国(清)に渡り、帰国しようとしますが、
かなわず、断念し3人の仲間と再度サンフランシスコへ戻ります。
(このとき、別れた仲間のうち数人は上海にいる漂流日本人の手助け
により帰国します)

アメリカでは、税関長をしていたサンダースの助けを得て、学校教育を
受け、日本人として初めてアメリカ大統領(フランクリン・ピアース)、
ピアースの次の大統領ジェームズ・ブキャナンに会ったり、蒸気機関車
にも乗ったりします。

その間に、キリスト教の洗礼を受け、アメリカに帰化

やがて、日本が開国したことを知り、ついに日本に帰国。
アメリカ領事館の通訳として、活躍しますが、攘夷派の侍たちに
命を狙われ、身の危険を感じた彦蔵は三度アメリカへ。

しかし、このときのアメリカは南北戦争の真っ最中で、やはり日本に帰る
ことを決意。
その間に、リンカーン大統領と面会しています。

そして、アメリカ領事館の正式な通訳官として任免を受け、帰国。
通訳を辞めた後は、横浜で商売をしたり、日本で初めての新聞を発行
したり、長崎ではグラバーのもとで働いたりします。

やがて、時代は江戸から明治へ。
兵庫県知事、伊藤博文の助けをかり、19年ぶりに故郷の本庄村へ帰る
のですが・・・